こんにちは、竹岡佳信です
私は30年間のサラリーマン生活の後、サラリーマンを卒業して独立起業しました。独立当初は、毎月どんどん減っていく銀行口座の数字を見るのが嫌で、どうしよう、と頭を抱えた事もありましたが、おかげさまで、今ではサラリーマン時代では考えられなかった生活を維持させていただいています。もちろん、浪費ざんまいのセレブ生活をしているわけではありませんが、八ヶ岳と東京の二地域居住を実現し、3人の子育てをしながら、時間と場所にとらわれないライフスタイルを実現することが出来ています。
サラリーマン時代に17年間、管理職、経営職を経験してきましたが、多くの人を観察してきた経験と、実際に50代になってから独立起業した経験から、サラリーマンのまま会社にしがみついた方が良い方、会社よりも独立起業に向いている方、副業を上手くやっていけそうな方が、どんな傾向にあるのか、が何となくわかってきました。今日は、人生の選択とも言える「働き方」を選ぶ基準について、タイプ別にお話ししていこうと思います。
まず最初のタイプは、会社員として優秀で、そのまま会社にいた方が良いというタイプ。これは、会社の中の業務の流れをよく理解し、自分がその全体の流れの中で何をすれば、組織全体が、より良く回っていくか、を考えることができるタイプ。言ってみれば、組織人タイプと呼べるかもしれません。簡単に言えば、既に出来上がっている仕組みに対して、改善を加えることが上手にできるタイプです。当然、上司に何か言われても、組織全体、業務全体を考えた上で、もっと良くなりそうなことを提案したりするので、上司からも頼りにされます。また、全体の流れをよく理解しているので、部下に対しても、的確なアドバイスをすることが出来ます。つまり、部下からも頼りにされる人になるわけです。なので、普通であれば、組織内で、それなりのポジションに昇進しているはずなのですが、会社組織というのは、40代位から先の昇進は、自分の上司だった人が、さらに昇進していないと上へ上がっていけないという、何とも言えず理不尽な仕組みがあったりします。なので、ある一定以上に上がるためには、自分の力だけでは、どうにもならないところがある訳です。だから、このタイプなのに、ポジションに恵まれていない人は、ある意味、会社生活では不幸だった人なのかもしれません。
このタイプの人は、業務の流れをよく知っているし、何をどうすれば、組織がどう反応するのか、ということにも精通しているはずです。ただ、自分一人で何かを始めるには、勘と度胸が足りない部分があるはず。なので、会社の中、組織の中にいたまま、自由な時間を作って、人生を楽しむ方が、幸せな人生を歩めるかもしれません。もし、転職をするのなら、自分をよく知ってくれている人の紹介なら、検討を進めるのも良いかもしれませんが、みずから転職エージェントなどを頼りに転職活動をするのは、もしかすると、良い結果に繋がらない可能性があります。なぜなら、転職先の組織の動き方は、これまで属してきた組織の動き方と、全然違う可能性が高いし、そうなると、組織内で上手くやってこれた経験も生きないし、何より、もっとできるはずなのでに、ここをこうすれば動くはずなのに、上手くいかない、ということの繰り返しが起きるわけで、自信を無くしたり、転職先の上司から、期待外れだった、という評価を受けることになりかねないからです。それって、さらに不幸になるスパイラルに入る可能性がある、ということですよね。
逆に、現在の会社の業務を適当にこなしていても、成果をあげることはできるはずなので、自分の自由になる時間を作ることは、比較的、簡単にできるはずです。ですので、その時間を使って、自分の得意なこと、大好きなことに取り組み、その中から、自分のビジネスになる種を見つけて育てていく、というアプローチの方が、結果的には大きな木が育つ可能性があります。
大切なことは、目先の収入にとらわれないこと。特に、収入を増やしたいからと、労働集約型の副業を始めるなんてことは、絶対にやめたほうが良い。なぜなら、自分の能力を活かせないから。それに、そもそも、このタイプの人は、労働時間を増やすことには抵抗があるはず。だって、改善というのは、効率化したいからこそ取り組めるのであって、改善が得意な人というのは、基本的にはめんどくさがり屋だったりするからです。
あと、もし、長年の付き合いがある信頼できる起業家から、組織を大きくしていくための仕組み作りを手伝って欲しい、なんていうお誘いがあったら、乗ってもいいかもしれません。まぁ、ずっと会社の中の世界にいると、そんな人脈も、なかなかないのが普通だったりしますが。。
次のタイプは、会社で上手くやっていくのも苦手だけど、独立起業するのもリスクが高い、というタイプ。このタイプの人は、自分がやっている業務にプライドを持っていたりします。いわゆる職人のようなタイプですね。会社の中で、自分は専門家だと思って仕事に取り組んでいたりします。それはそれで、素晴らしいことなのですが、それは、あくまで、その会社でしか通用しないこと。会社の外の世界で、◯◯の専門家です、と名乗っても、ニッチすぎて市場がなかったりします。それに、現在のように時代が大きく変わりつつあって、会社の存続が危うくなるような状況においては、会社の都合で配置転換がしにくい人材として扱われたり、実際、配置転換されても、私は◯◯の専門家なので、この仕事は合いません、と宣言したりするので、リストラの対象になりやすいというリスクもあります。プライドだけで生きていけるほど、会社の外の世界は甘くはありません。でも逆に、◯◯の専門家を求めている会社があれば、転職は上手く行く可能性があります。なぜなら、これからの時代は、特定のスキル、業務経験がある人を、即戦力として求める企業が多くなるから。だからこそ、自分が実は何ができるのか、何が得意なのか、を知り、自分を高く売るためには、どんな市場で自分を売ればいいのか、ということを常に考えておくことが必要な時代になったということかもしれません。自分を客観的に評価すること。それは、今の会社や、今の上司の基準ではなく、自分が働く可能性のある労働市場での自分の価値を知っておく、ということです。そういう意味でも、会社の中の世界だけではなく、会社の外の世界を、興味を持って調べていく、情報収集と、その評価をしていく、という活動が必須と言えるでしょう。ただ、専門職として生きていくわけですから、あくまで職人です。市場という視点は、なかなか持てないかもしれません。だとしたら、まずやるべきことは、専門性を磨くために資格をとることや、具体的な転職の情報を集めて、ここは給料が低いとか、福利厚生がない、とかブラックかもしれない、とか、そういったことに時間を費やすのではなく、自分自身について分析したり、評価する基準を調べたり、他の人と比べることで自分の価値を知ることに、時間と労力を使うことが先なのかもしれません。
最後に、会社員よりも起業をした方が良いタイプ。これは、上司からの指示に従うのが苦手で、つい、自己流で何事もやろうとしてしまう人。やり方を指示されても、それを守らないので、能力をすごくあったとしても、会社の中では、あまり評価をされず、会社員を続けていくことが、そもそも難しいというタイプです。こういう人は、会社のやり方そのものを批判して、抜本的に改革をやろう、などと言い出して、組織から浮いてしまうことがあります。会社というのは、そもそもが、業務を回していれば、それなりに利益が出る仕組みが出来上がっています。なので、その仕組みの一部を、改善してみる、というチャレンジは良いのですが、抜本的に変えてしまったら、これまで利益を見込むことが出来たのに、利益どころか、支出ばかりが増えて大赤字に転落ということになりかねません。でも、そのチャレンジをしないことが、腹立たしいと感じてしまうのですから、そもそも、他人が作った組織や仕組みに満足できない、いわゆる起業家タイプだということができます。
このタイプは、能力はとても高いし、多くの場合、上司が指示するやり方よりも、良い方法が見えていたりするので、上司をバカにしていたりします。また、年下の上司から指示をされること自体、プライドが許さないとかいう感じになりやすいので、ますます会社に行きたくない無くなったりします。こういう人は、早期退職募集とかは大チャンスなので、さっさと会社を卒業して起業する方向に進む方が、成果が出やすいかもしれません。
ただ、気をつけなければならないことがあります。それは、長年、ふてくされていたり、手順をそのまま実行することを馬鹿にする傾向が、体全体に染み付いていたりします。なので、自分の能力を過大評価していることも多いんですよね。
会社の中の世界の常識は、会社の外の世界では通用しません。つまり、これまでの長年の経験や、業務の中でつちかってきた自分なりのやり方というのは、基本、通用しません。会社の外へ出て、初めて何かをやる場合には、できれば、自分が「この人なら」と思える人にメンターになってもらうか、弟子入りさせてもらって、まずは、上手くいっている人を真似る。いわゆる、モデリングをすることをお勧めします。いわゆる、守破離の守を徹底的にやることが大切です。
私も、実はこのタイプに近かったのですが、最初に起業活動を始めた頃は、サラリーマン感覚で、いくつか可能性のあるものを手がけていれば、どれか当たるだろう、的に考えて、6つのことを同時に進めようとしていたことがあります。当然、どれも上手くいきません。そんな悩みを後にメンターになってもらった経営コンサルタントの中井隆栄先生に相談したところ、「たけちゃん、そんなことしてるから、上手くいかへんのや」と一笑に付されました。あ、京都の方なので、柔らかな関西弁なんです。そこで、教えてもらったこと、それは、起業は一点突破。成功したければ、一つのことに絞り込んで、集中することが大切だ、ということでした。
初めて経験する新しい世界で、どうすればいいのか、全く経験がないところで、自己流はまるで通用しない。なるほど、と思いました。それで、すぐに、当時手がけていた6つのことを、全部やめ、半年間、無収入で準備をして、今のビジネス、つまり経営コンサルタントに絞り込んで活動をしたところ、色んな人に助けてもらいながら、事業開始から9ヶ月目には売上が1000万円を超えることが出来ました。
さて、会社の中が最適という組織人タイプ、会社の中の職人タイプ、会社におさまり切らない起業家タイプという3つのタイプについてお話をしてきました。果たして、あなたは、どのタイプに近いと思いますか?
私がどのタイプだったか、というと、基本は3つめの、ゼロから何かを作るのが好きな起業家タイプだったのかもしれません。ただ、器用に最初のタイプ、つまり、組織の全体像を把握した上で求められる答えを出すことも出来たので、上手く組織でもやっていけたのかもしれません。でも、50歳という年齢に達しようというとき、このままの人生で本当に良いのか、と自分に問いかけた結果、会社を卒業することを選択しました。実際、その選択をしてよかった、と思います。
自分の時間を自分の思うように使って、会社の犠牲になりがちな家族との時間を大切にも出来ました。そもそも、この八ヶ岳に移住したのも、まだ幼かった子供たちを、1日中、森の中で遊ばせてくれる幼稚園に通わせたかったからでした。そして、会社を辞めた本当の理由は、組織人として毎日同じ生活をすることに飽きた、とか会社の中の専門家として生きていくことに不安を感じたとか、起業家として何かを作り出したかったから、とか、そう言ったことよりも、会社の近くという条件で決めてきた、住む場所の自由を取り戻し、自分と家族の人生にとって、その時々に応じた最適な選択をできるように、自分の人生のコントロールを自分の手に取り戻すため、だったように思います。
会社は、あくまで、収入を得るために働きに行くところ、ではないでしょうか?会社に自分の一生を捧げることが素晴らしいことだ、という時代は、とうの昔に過ぎ去っています。自分の人生をどう生きるのか、それを決めた上で、現在の会社員という立場をどう活用するのか、を考えていく。リストラの対象になったりして、会社員として生きていけなくなる可能性があるのなら、焦らず、少しだけでいいから、時間をきちんととって、ゼロベースで人生の設計をやり直してみる。あなたの人生に本当に必要なことは、そう言った、自分と向き合う時間、なのではないでしょうか?
もし、あなたが、50歳という人生の折り返し点の近くにいるのなら、そして、このままの人生で良いのだろうか、という疑問を抱いているのなら、また、サラリーマンとしての仕事に、やりがいを感じることができないでいるのなら、あるいは、将来の収入や、安定的な生活に不安を感じているのなら、そして、自分の人生をふりかえった時、何もしてこなかったことに、愕然としているのなら、今、この時こそが、あなたの「生き方」そのものを変える、ベストなタイミングなのかもしれません。サラリーマンを続けることも、サラリーマンを卒業することも、全ては自分で選択できることです。ただ、新しいチャレンジには、どうなるかわからない、という不安もありますし、初めてのことに自信が持てないのも当たり前のこと。ただ、あなたが、その一生を終える時、チャンスがあったのに、別の生き方にチャレンジしなかったことを、本当に後悔しないかどうか。それは、考えてみても良いのかもしれません。