50代ともなると、ふとした拍子に、
「なんか体力落ちたなぁ」と感じることってありませんか?
でも、会社では、なかなか、自分の弱みは見せられないし、
自分でビジネスをするとなると、ちょっと調子が悪いから、といって休んでいたら、生活が成り立たなくなる、なんて思ってしまいますよね。
でも、実は、その考え方が、ますます自分のパフォーマンスを落とす結果を招いているって、ご存知ですか?
この記事では、50代になっても、自分の『パフォーマンス』を維持していくための、3つのポイントについて、お伝えしていきます。
私自身の経験に基づくことなので、万人に効く薬がないのと同様に、必ず役に立つかどうかは保証できませんが、少なくともセルフマネジメントの考え方については、知っておいても良いことだと思います。
1つ目のポイントは、『好不調の波』に逆らってはいけない、ということです。
会社に勤めていると、調子の悪い時でも、いつもと同じように成果を出すことを求められます。
調子が最悪の時って、何をしても上手くいかなかったりするのですが「調子が悪いんです」と上司に言っても「何を馬鹿なことを言ってるんだ」と切り捨てられるだけだし、「あいつはやる気がない」なんて思われると査定に響いたりするので、決して、そんなことは口にはしませんでした。不健康自慢をしていたのは、好調だと思われると、より多くの仕事を押し付けられる可能性があったので、その予防線を張っていたのかもしれません。
でも、私たちはロボットではありません。
それに、50代になると、調子の波ははっきりして来ます。簡単に言えば、調子が悪い状態を、表面的にでもリカバリーするだけの余力が無くなってきた、ということかもしれません。人によって差はあると思いますが、これはもう、気合いでなんとかするとか、頑張れる範囲を超えてしまっていて、どうしようもない領域になってしまうこともあります。
そんな時に、夜遅くまで残業したり、ストレスの高い業務があると、体力的にも気力的にも、かなりのダメージを受けます。無理をすると、数日は使い物にならなくなったりするということが、現実に起きるようになります。特に、若い頃のつもりで徹夜に近いことをしたら、その後、1週間ぐらいは影響が残ったりします。それが自分の現在の状態なんだ、と認めるしかありません。
でも、会社の中にいると、好不調は個人の勝手だし、パフォーマンスを好調に保っておくのは、社会人としての責務だ、ぐらいの感覚ですよね。「自己管理もできないやつに、良い仕事はできない」なんていう正論がまかり通ったりしています。
確かに、それはそうかもしれない。
でも、業務量や負荷の調整をできない状態にしておいて、常に好調なパフォーマンスだけを求める、というのも、なんだか変だな、と思いませんか?
会社の都合に合わせて何十年も仕事をしてきたし、生活も会社優先で組み立ててきたのに、年齢を重ねたことによって無理が効かなくなったことを、『自己責任』という一言で片付けられることには、なんだか理不尽しか感じられません。
でも、ここで冷静になってください。
重要なことは、好不調の波に逆らってはいけないということ。
大切なことは、自分のパフォーマンスを、それなりに維持していくことです。
無理をしたら、もっと調子が落ち込みます。なので、私は、今日は調子悪いな、という日には、出来るだけ負荷のかからない仕事をするようにしますし、頑張らずに、早々に仕事を切り上げて体調を整えることを優先するようにしています。
もちろん、それは、自分でビジネスをしているからこそ、できることではありますが、会社に勤務していたとしても、頑張って、無理をするようなことはせず、「本当に体調が悪いんです」とか「プライベートの用事」を理由にして定時退社するとか、長年の会社生活で培った、ほんのちょっとした裏技的なものも使って、とにかく無理をしないようにすることが、実は、長期的に見て、自分のパフォーマンスを好調に保つために、必須なことだということができます。
人がなんと言おうと、自分の調子は自分にしかわかりません。
サボっていると見られるのは、確かに嫌かもしれません。「都合よく調子悪くなるなぁ、、」と嫌味を言う上司がいるかもしれません。でも、それよりも、自分の調子を把握して、無理をしないことを優先してください。無理を重ねれば、簡単に、体調を崩して、長期的に戦線を離脱することにもなりかねないし、下手をすれば死に直面する事態にもなりかねないことを、十分に認識しておくことが、50代に入ってからは特に重要なのだと思います。
2つ目のポイントは、感情を安定させておくこと。
実は、感情って、身体の反応だったりします。
「怒り」の感情は、腹が立つ、とか、怒髪天をつく、みたいに、体のある部分を使って表現しますよね。「悲しみ」も、胸が痛むとか、不安も、胃がキリキリと痛むとか、そういう表現になっているのですが、実際、大きな感情の揺れがあると、確かに、その体の部分が反応していたりするんです。
パフォーマンスを悪化させるのは、マイナス感情です。
特に、「不安」や「恐れ」「悲しみ」「怒り」「寂しさ」「罪悪感」や「嫉妬」といった感情は、間違いなくパフォーマンスを低下させます。
だって、不安を感じていると、何かから自分を守るために体を硬くしてしまうので、前向きなことが何もできなくなったりしますよね。怒りに身を任せると、冷静に物事を考えることができなくなって、相手を攻撃することばかり考えたりするようになります。寂しいと、温もりが欲しくて、体に力が入らなかったりします。
逆に、「嬉しい」ことがあったると、もっとやろう、という意欲が出てくるし、「安心感」を感じるからこそ、自分のパフォーマンスが100%出せるようになるのも事実です。
だとしたら、そもそも、仕事でミスをしたと言って部下を叱りつけたり、責めたりするというマネジメントは、部下を疲弊させるだけで、組織をうまく回していくという本来の目的とは、まるで逆効果なんですが、それを理解している管理職が少ないのは、なぜなんでしょうか?
多分、子供の頃から、100点を取ることを目標にさせられて、出来ていることよりも、出来ていないことの方に目を向けるように、習慣化されてきたことが原因なのかもしれません。
重要なことは、自分の感情の状態を、自分でマネジメントすることです。
上司が、何かをネチネチと責めてきたとしても、それは、上司が、その上司から責められることに不安を感じて、その感情のやり場がなかっただけなのかもしれません。自分で自分の感情をどうにもできないから、部下に、その捌け口を求めている構図って、結構、あるのではないでしょうか?
まぁ、正直言って、良い迷惑ですよね。
だったら、その上司に対して、ああ、この人は不安なんだな、とか、責任を取らされるのは大変だな、とか、冷めた目で見ることができたら、少なくとも自分の感情が、他人によって乱されることはありません。
また、自分がきちんとやった、と思えた仕事があったら、上司がどんなに難癖をつけてこようとも、「自分はやるべきことを、やったんだ」という事実に対して、自分をねぎらってあげてください。
実は、自分の評価は自分にしかできません。
上司や他人の評価は、その人の都合に過ぎないからです。でも、自分で、自分を認めてあげられないとしたら、他人が認めてくれたことも、受け入れられなくて、自分にダメ出しするばかりになってしまうのではありませんか?
自分を良い状態に保つためには、自分の感情を安定させておくことが重要です。
そして、何を思い出せば、自分が嬉しいと感じたり、安心できたり、満たされたりするのか、と言うことを確認しておいて、いざと言う時には、周りの状況に関係なく、ポジティブな感情のキーになる出来事を思い出せるようにしておくと、自分のパフォーマンスを自分の力で維持できるようになったりします。
3つ目のポイントは。自分のペースを優先して生きると言うこと。
調子には波があります。頑張っても出力が20%以上に上がらない時期に、100%の成果が出せないのは当然です。
でも、20%の調子の時に、20%の成果が出せたとしたら、これって、100点ですよね。それに、調子の波は、波なので、必ず良い時が来ます。
波は振幅に過ぎません。
だから、一つの波のピークやボトムを持って、人を評価することは、無意味なのかもしれない。
ただ、ひとつ言えるとしたら、長期的に自分の調子を維持できる人がいたら、その人のパフォーマンスは高い、とは言えるかもしれない。そして、長期的なパフォーマンスを維持するには、自分が自分を大切に扱う、と言うことが最も重要な要素になってきます。
50代になったら、自分に無理をさせることが、自然の摂理として、できなくなっていきます。でも、自分という個体と何十年も付き合ってきたわけですから、自分を自分の状態を把握することは、ある程度、できるようになってきているはず。
ならば、自分の調子を把握し、自分の調子に合わせて、今の自分に無理なくできることを積み重ねていくことによって、長期的なパフォーマンスを維持することが、できるのではないでしょうか?
それが、自分をマネジメントするということに、つながっています。
もちろん、会社に勤務していたら、調子の悪い時でも頑張らないと仕方がないし、自分のペースで生きることなんて、絶対にできない、という反応があることは、重々、承知しています。でも、50代になって、20代と同じことは出来ませんよね。無理なことは無理、ですよね。でも、無理になったことがある代わりに、知恵をつけ、自分という個体を、うまく使いこなすことができるようになっているはずなのではありませんか?
今の自分に無理なくできることを、継続的にやり続けること。
自分の調子に合わせて、20%出力の時は、20%の成果を、80%出力の時は80%の成果を着実に出すことの方が、短期的に無理が出来ること若者よりも、信頼できるパフォーマンスと捉えることができるのではありませんか?
ただ、年齢を重ねるに従って、他人の都合に合わせて生きられなくなってきているのは、ある意味、仕方のないことなのかもしれません。
多少は、頑固にもなってきましたよね。他人の言うことに、反対はしないけれど、納得はしない。なんていうことも増えてきたのではないですか?
年下の上司に、『こんなことも出来ないんですか』と言われて腹立たしく思うのなら、もしかすると、これまでと同じように、会社の中で生きていくこと自体に限界が来ているのかもしれません。
私は、40代50代の方の、サラリーマン卒業にたずさわらせていただいて、10年近くになりますが、一番大切なことは、『自分のペースで、自分のやりたいように仕事をしていく中で、安定的な収入を得られるようにすること』だ、と考えています。
もちろん、短期的に、自分のパフォーマンスを、100%集中することが必要な時期もあります。ただ、漫然とやれることだけをやっていては、余裕のある収入を得られるようにはなりません。
でも、それは、無理をして作業を詰め込むことではありません。
自分と対話し、自分と相談しながら、自分の最高のパフォーマンスを長期的に引き出すためのセルフマネジメントの手法を身につけることで、他人の都合に合わせたサラリーマン生活から抜け出すことが重要です。
そして、それは、会社を辞めると言うことではなく、『サラリーマンという生き方を辞めて、自分の都合で生きていくために、会社を利用するという考え方をベースに置く』と言うことなんです。
そして、将来に向けて、調子の波に左右されないように、労働と収入が直接比例しない「マイクロビジネス」を持つことが、自分を大切にする生き方につながっていくのではないでしょうか?
さて、ここまで50代から『パフォーマンス』を上げるための3つのポイントについて、お伝えしてきました。調子の波に逆らわず、感情を安定させながら、自分のペースを優先して生きていく。この生き方こそが、雇われない生き方、の基本だと思うし、ストレスが最小化され、最も効率よく、自分を動かせる働き方を実現する方法だと思います。
日本の政治家は、80ぐらいだと、まだまだ元気ですよね。多少、物言いが横柄になったり、失言が増えたりもしますが、それはそれで、面白いといえば面白い。でも、80歳のサラリーマンは、そもそも見かけないし、定年が過ぎて現役を引退してしまったら、いつの間にか身も心も衰えてしまう方が多いのかもしれません。
でもね、人口ピラミッドの統計データを見ても、日本の平均年齢は49歳。そして、49歳よりも若い人は、年々、減少していきます。
だとしたら、私たちは、50を過ぎたからと言って生産人口から外れてしまう道を、なんとなく選ぶのではなく、80歳まで現役で、なんらかの形で社会に役に立つ人生を生きる必要があるのかもしれません。
そして、それが会社という閉じた世界の中では無理だというならば、自分でマイクロビジネスを始める、という選択をする勇気を持つことも、一つの重要な選択肢なのかもしれません。